口の中の診察について
ふだんの診察には一定の流れがあります。聴診器で胸の音を聴いて、おなかを触れてみて最後に「お口あ~ん」です。
口の中にはとてもたくさんの情報があります。熱のあるお子さんの多くはのどが赤くはれています。ただはれるだけでなく口内炎ができたり、へんとうせんが化膿することもあります。また最近問題になっている麻しん(はしか)は皮ふにぶつぶつが出る前に口の中に特徴的な白いポツポツができます。逆に高い熱が続いているのにのどがはれていない場合は他に熱の原因を探す必要があります。その他舌や歯ぐきなどみなければならないところがいっぱいあります。
口の中を診察する時、舌圧子(ぜつあつし)という棒を使います。ところが小さいお子さんの場合一度でもこの棒でえづいて不快な思いをすると次から口をあけようとしなくなります。棒でえづく体験はとてもつらいものです。お母さん方も歯ブラシでえづいた経験はありませんか?“咽頭反射”といってこの反射は個人差があります。できるだけ棒を使わずにお子さんが自分で口をあけるのを待つようにします。重要なのは舌の位置です。舌を前に出して「あー」と声を出したり、舌をひっこめたまま大きく息を吸い込むようにすると舌のつけ根が下がって奥まできれいに見えます。お子さんと一緒に遊び感覚で練習してみて下さい。鏡の前でカバさんみたいに大きい「お口あ~ん」です。
どうしてもあけられない場合は頭を押さえて棒を使うことになります。次の診察までに練習してきて下さいね。